岡山子どもの本の会 代表 脇 明子
いま、子どもたちは、もっぱら映像メディア、電子メディアとのつきあいに時間を費やし、まわりの人たちとの人間的なかかわりや、五感を全開にして自然に触れるような体験から、すっかり遠ざかっています。それが子どもの発達を脅かしていることは明らかですが、いまの社会のなかで子どもたちが豊かな実体験をとりもどすのはかんたんではありません。本を開いて物語を読むことは実体験ではなく、仮想体験にすぎませんが、本当にいい本と幸せな出会いをすれば、そのなかで生きているさまざまな人間たちに出会い、描かれている自然や文化を味わい、不足している実体験を補うことができます。そればかりか、質のいい読書をすれば、人間が生きていくために必要な想像力や思考力、自己コントロール能力などが育まれ、それがメディアとうまくつきあうことにもつながっていきます。
しかし、本のなかにひそむそうした大きな可能性は、外からでは全然見えません。ほかに楽しみがないときならともかく、身のまわりにお手軽な楽しみがあふれているいま、子どもたちが自分から本を手に取ろうとしないのは、当然のことなのです。
そんな子どもたちのためにドアを開き、そのなかにひろがる世界への一歩を踏み出す手助けをするのは、私たち大人の大切な仕事です。岡山子どもの本の会は、子どもたちに本当にいい本を手渡したいと願う人たちが、悩みを持ち寄り、知恵を出し合い、楽しみながらいっしょに学ぶために発足し、すでに24年間に渡って活動を続けてきました。学校、幼稚園、保育園、図書館、公民館、家庭文庫、書店等で、実際に子どもと本との橋渡しをしている人たちが中心の会ですが、この問題に関心をお持ちの方なら、どなたでも大歓迎です。ご参加をお待ちしています。
岡山子どもの本の会では、講演会や例会を年に数回ずつ開催し、会員には会報『ぐんぐんぐん』をお送りしています。会報には、例会や講演会のかなり詳しい報告が掲載されます。
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